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もしかしたら、純粋にスポーツカー好きな人って少なくなっているんじゃないかと思う。それは、魅力的なクルマがないということじゃなくて、“スポーツカーとはなんぞや”という定義がすごく曖昧になってきてしまっているからなのか。北米や欧州でのスポーツカー人気は極めて高いのに、こと国内にいたってはミニバン、SUVが多勢を占める……。フェアレディZは、日本国内だけでなく世界的にみても有名で、かつ輝かしい実績をもったスポーツカーの一台なのだから、じつにもったいない話ではなかろうか。
昨年夏にベールを脱いだZ33型フェアレディZは、流麗なクーペボディをまとっていた。当初からロードスターモデルの存在がささやかれていたが、ついにそれが現実のものとなったのだ。意外なことにこのZ、日産が初めて本格的に手掛けたオープンモデルとなる。シルビアやマーチ、それこそ1世代前のZ32型フェアレディZにだって、オープンモデルは存在していたものの、いずれもベースモデルの屋根をカットしてオープンモデルに仕立てていた。よって、オープン化を視野に入れてのボディ設計ではなかったのだ。当然ながら、走りにも、ボディ剛性面でもベースモデルを超えることができなかった……。
が、Zロードスターは成り立ちからして違う。クーペボディの設計段階からロードスターを造ることが決まっていたから、これまでのデメリットを最小限に抑えることが可能になっている。たとえばAピラーの角度。これはオープン化によるキャビンへの風の巻き込み対して重要な役割を担うものだけれど、クーペもロードスターもAピラーの角度は同じ。つまり風が及ぼす影響を考え抜いた結果、最適な角度が選択されているということ。さらに、スポーツカーにとって肝心のボディ剛性の確保にもこだわっている。真っ先に強化されたのがAピラーとそれに続くサイドシル。クーペと同等のハンドリング性能の実現はこれによるところが大きい。さらには強化されたフロントに合わせて、リヤのストラット部分にまで補強を入れるという徹底ぶりだ。
驚いたのは走りのテイスト。「まんまクーペです!」と日産の実験部の方が胸を張るだけに、ロードスターになってのデメリットは感じない。細かいことを言えば、左右輪の片方がきつめのギャップを踏んでしまったときに、フロアまわりの動きに若干の振動を感じることくらい。さらに意地悪くいえば18インチ仕様はその“揺れ”がやや大きめ。でもそんなときは、ちょっと頭を上げてスカーンと晴れた空を見上げてしまえば、ぜんぜん気にならなくなってしまう。そればかりか、屋根のあるクーペとの比較なんて無意味なんじゃないかと思えてくるから不思議。これぞオープンモデルの魔力です。
同時に小変更が施されたクーペに乗ってさらにビックリ。足まわりが“しなやか仕様”になっている。全世界統一スペックを掲げてデビューしたZ33型だが、欧州での評価は「ハンドリングはナイスだけど、快適性がいただけない」だったようで、そのあたりをじっくりと煮詰め直した結果だそうだ。だからって目を三角にしてコーナーに飛び込んだりすることが苦手になったわけでなく、言ってみればひと皮むけた懐の深さを持ち合わせたといいうべきか。ちなみにZロードスターの足まわりは、この“しなやか仕様”とほぼ同じスペックだという。
Zロードスターでオススメは17インチ仕様の5速AT。グレードも360万円のベースモデルで十分! 必要なものは全部付いているし、なんたってクーペ+50万円でここまでの開放感が存分に味わえる。Zならではのスポーツ観は、スポーツカーをリアルタイムで体験したことない若いユーザーにも直接訴えかけてくれるものがあると思う。
<リポート:西村直人(NAC)>
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