いつの時代も伝統と革新が交差するクルマ
911はこれからもそうあり続けるだろう
 

いよいよ実物を見ることができる! と、クレストを見るだけでも大興奮! の編集部であった…

ニューカレラに与えられたのは18インチホイールと対向4ピストン式ブレーキキャリパー。制動性能とデザインを両立

独特のボディラインはエレガントさと精悍さを際立てる。もちろん、空気抵抗と揚力も軽減してエアロダイナミクスを向上

フロントセクションから絞り込まれたウエストラインが特徴的だが、空気抵抗係数は0.28(カレラ)と優れている

カレラSが履く19インチホイールと若干低めにセッティングされた車高が、さらに迫力とスポーティさを増加させる

インパネ周りのデザインを一新。悪いわけではもちろんないが、イマドキになってしまったことに少しだけ寂しさが募る

Porsche Design社F.A.Porsche氏とBosendorfer社の技術スタッフとの対話を経てデザインされたというピアノも展示
 ヨーロッパから遅れること1ヶ月。いよいよ日本市場において正式に997が発表されることになった。カレラGTの際もそうであったように、ポルシェ・ジャパンがプレス発表に先駆けてポルシェ・オーナーたちを招待して、都内で発表会を行なうと聞きつけ、早速会場に我々は赴いた。

  「日頃、商品を愛してくださるお客様にまずはお披露目させていただきたい」という言葉どおり、いわゆるプレス向けとは違った趣きの新型車発表会から、ポルシェ・ジャパンとポルシェセンター横浜のご協力によってニュー911紹介したい。

 会場は、東京・恵比寿に位置するホテル。CARモードWEB編集部は社有車で向かったが、駐車場には新旧のポルシェ、ポルシェ、ポルシェ…と、数々のポルシェが止まっている。これを見てしまうと、本当に日本って景気が悪いんだっけ? などと思いながらも、ニュー911に期待が膨らむ。受付を済ませて入場すると、そこにはまるでモーターショーのブース展示のように、「ニュー911カレラ」と「ニュー911カレラS」が配置され、会場の招待客たちが入れ替わり立ち代り乗り込み、また、様々な角度から車両のチェックをしている。1997年の996発表から7年…。待ち焦がれた新車発表である。

 ニュー911は、1963年に登場した初代から続く、「エレガントなデザインと生粋のエンジニアリングがもたらすピュアスポーツ性能の融合」という伝統を守りながら、911のもつ天性の資質をディティールにいたるまでさらに磨きぬいた結果だという。よりパワフルでダイナミック、精緻を極めている。この極められた「精緻」=「PRECISION」が、ニュー911のキーワードである。

 まずはデザインから。911初の水冷エンジンを搭載した996がデビューしたときは正直違和感を覚えたが、後年フェイスリフトもされ、すっかり911の顔として落ちついた気がした。ところが997は先祖帰りともいうべき丸い(正しくはだ円)ヘッドライトが与えられたのだ。以前の“カエル顔”とまではいえないものの、丸いヘッドライトを見ると「やっぱり911はこうでなくちゃ」と個人的に納得してしまう。

 全体のフォルムは先代から大きく変わっていないように見えるが、じつはシャーシも新設計。もともと911はイヤーモデルごとに見た目は変わらなくても見えないところを改良してきている。しかも時には大幅な変更をすることも珍しくはなかった。そう考えると今回のフルモデルチェンジでも変更点は多いはずだ。実際997はトレッドを従来比でフロント21mm、リア34mm拡大し、それに伴いフェンダーの形状を変えている。決して前後のデザインのみ変更してお茶を濁すような仕事はしていない。

 インテリアに目を移すと、より現代的にアレンジされたためか若干の寂しさは覚えたが、911伝統のセンターにタコメーターを配した5連メーターは健在だ。インパネ周りは相変わらず上質な本革がふんだんに使われ、質感などという言葉をおいそれとは口に出せないオーラを放つ。エグゼクティブカーのような落ち着いた色使いに優しささえ感じてしまうが、スピードメーターに刻まれる数字を見ると本気モードのGTであることを再認識させられた。

 メカニズム的には従来モデルの水平対向6気筒3.6リッターエンジンを搭載するカレラに加え、カレラSに新開発の水平対向6気筒3.8リッターエンジンが搭載されたことが大きな話題となっている。一時はV8を搭載するのではという憶測もあったが、水平対向+リアエンジンの伝統は守られたわけだ。出力は3.6リッター・エンジンが239kW(325PS)/370Nmと996に対し4kW(5PS)アップしている。3.8リッター・エンジンは261kW(355PS)/400Nmというハイパフォーマンスを誇り、0-100km/hを4.8秒で駆け抜け、最高速度は293km/hに到達する(6MT)。大きく重くなったといわれる911だが、いつの時代もスーパースポーツに変わりない。もちろん足周りも改良が加えられ、コーナーリング性能も向上しているという。また、従来ターボモデルなどに採用されたPCCB(ポルシェ・セラミックコンポジット・ブレーキ)がオプション装着できるようになった。911のブレーキといえば、タッチ、剛性感、効きと、どれも文句なく1級だが、さらなる磨きがかけられたことだろう。

 質実剛健というイメージのドイツ車も、年々柔らかくなってきたと思う。ポルシェもその波には逆らえないだろう。でもニュー911はやはり911だった。もちろん走ったわけではないから、その進化度合いの本当のところはわからない。それでもひとついえるのは、「最新のポルシェが最良のポルシェ」という使い古された言葉が本当であると確信できたことだ。何年後かにデビューする次の911も楽しみでしかたない。

 2004年8月25日より受注を開始。価格は、10,460,000円(カレラ6MT)〜13,110,000円(カレラS 5速ティプトロニックS)
New 911 Carrera S (6MT)
 全長×全幅×全高 [mm] 
4,725×1,810×1,300
 ホイールベース [mm] 
2,350
 トレッド 前/後 [mm] 
1,485/1,515
 車両重量 [kg] 
1,460
 エンジンタイプ  
水平対向6気筒
 総排気量 [cc] 
3,824
 最高出力 [kW(ps)/rpm] 
261(355)/6,600
 最大トルク [N・m(kg-m)/rpm] 
400(40.8)/4,600
 タイヤサイズ  
Fr:235/35ZR19
Rr:295/30ZR19
 10・15モード燃費 [km/L] 
 価格 [円] 
12,480,000

協力:ポルシェセンター横浜