2003年10月、ドイツでデビューした4WD SUV、X3が日本にやってきた。一見X5の弟分といった趣きだが、BMWはあっさりと否定する。X3とは、新たなセグメントを創造する、プレミアムSUVであると。いや、SUVではなくBMWはSAV=スポーツ・アクティビティ・ビークルと呼んでいる。そのくらいXファミリー・ブランドは重要な意味を持つということだろう。
ターゲットはズバリ30代半ばから後半の男女。ファミリーで乗るもよし、カップルでも似合うクルマだ。走るところを選ばないという以上に、シュチュエーションを選ばない。理想をいえば、趣味のスポーツカーを1台持っていて、X3を普段の足として使うというのがよいと思う。筆者には夢のような話だが…。
バリエーションはX3 2.5iとX3 3.0iの2種類。2.5iは右ハンドルのみだが、3.0iは右/左ハンドル両方が用意されている。そのスタイルはどこから見てもBMWとすぐわかる。それはキドニーグリルがあるからというだけでなく、サイドビュー、リヤビューも、しっかりBMWの“顔”をしているのだ。なかでもやはりフロント部分は個性的。ここ最近のBMWのクルマには、特徴的なヘッドライトが与えられているが、X3もこれを踏襲している。どちらかというと5シリーズのような鋭い眼光ではなく、ちょっと優しいような、眠たげな感じで、クルマのキャラクターにマッチしていると思う。このヘッドライトはステアリングに連動してカーブでも進行方向を照らす「アダプティブ・ヘッドライト」もオプションでチョイスできる。
ボンネットは、その下に収まる今や貴重な存在の直6エンジンのため、若干ロングノーズとなっている。ボンネット上にV字に広がるプレスラインがスポーティさを醸す。バンパーはあえて無塗装としているのは、X5と差別化するためであろうか? フロントからサイド、そしてリヤへと黒い樹脂がむき出しで、SUVらしさを演出している。
X5よりひとまわり小さいといわれるボディだが、実は数字的には意外とグラマラス。全長は4,565mmとX5より100mm短いが、全幅は1,855mmとX5の3.0iより15mm小さいだけ。でも、見た目にコンパクトに見えるのは、1,675mmという全高と、ボディの四隅を丸くしているためか。実際、取り回しはよさそうな印象を受ける。
パワーユニットはシルキー・シックスとも呼ばれるダブルVANOS付き直6 2.5リッター&3.0リッターエンジンを採用。この2.5リッターエンジンは、エンジンのオスカーとも呼ばれる「エンジン・オブ・ザ・イヤー」を2年連続で受賞しているという。2.5リッターの最高出力は141[192]kW[PS]/6000rpm、最大トルクは245[25]Nm[kg-m]/3500rpm。3.0リッターはそれぞれ170[231]kW[PS]/5900rpm、300[30.6]Nm[kg-m]/3500rpmとどちらもパワフルであるが、ヨーロッパの排出ガス規制ユーロ4に適合しているなど、エコ性能も優秀だ。組み合わされるミッションは5ATステップトロニックのみ。ちなみに本国ではディーゼルエンジンや6MTも用意され、実に興味を惹かれるところだが、まず日本で乗ることはかなわないだろう。
X3最大のトピックは、やはり4輪駆動システム「xDrive」だろう。これは電子制御式多板クラッチにより、前輪と後輪の駆動力配分を0〜100%まで連続的かつ瞬時に行ない、従来の4輪駆動システムにはないトラクション性能とコントロール性を実現しているという。また、滑りやすい路面での単なるトラクション・コントロールの機能だけでなく、前輪と後輪の駆動力配分を変えることによりコーナーリング中のアンダーステア、オーバーステアの抑制も行なうなど、スタビリティ・コントロール機能も合わせ持つ。このような最新のテクノロジーでクルマの挙動を安定させようとする一方、伝統の前後重量配分50:50もほぼ達成しているというから、SUVとはいえドライビング・プレジャーを忘れないところにBMWのクルマ作りというものが感じられる。
発表会の冒頭で、BMWジャパン代表取締役のヘスス・コルドバ氏が話していたが、今年の売り上げは1月から5月まですべて前年度を上回っているという。とくにBMWブランドの総登録台数は前年比11.2%増と絶好調なのだ。ひと昔前までは、BMWといえばスポーティセダン・メーカーとしての地位を保っていたが、今やオープンスポーツにSUVも加え、多角的に成功を納めている。
今年の秋、BMWがまた新たなセグメントに挑戦するべく、1シリーズをデビューさせることが決定している。楽しみに待つとしよう。
2004年7月3日より全国のBMW正規ディーラーから発売される。価格は、5,130,000円(X3 2.5i)〜5,730,000円(X3 3.0i)。
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