HONDA BEAT

世界初の軽自動車ミッドシップオープンカー

小さなボディにホンダらしさがいっぱい

メイン写真
ビート主要諸元(1991年式・5MT)
全長(mm) 3295
全幅(mm) 1395
全高(mm) 1175
ホイールベース(mm) 2280
車両重量(kg) 760
エンジンタイプ E07A型直3OHC
総排気量(cc) 656
最高出力(ps/pm) 64/8100
最大トルク(kg/ps) 6.1/7000
パワーウエイトレシオ
(kg/ps)
11.88
サスペンション前後 ストラット
ブレーキ前後 ディスク
タイヤサイズ前後 155/65R13
165/60R14
 

軽自動車の常識を大きく超越、オープンモノコックボディ!

バックビュー
背負い込んだような、ウエッジシェイブスタイルか印象的よく、ミッドシップにできたもの
2シーター
2シーターと割り切ったことから座っても窮屈ではない。ライオン柄のようなシートやアハルト風メーターが印象的
ホイール
純正はスチールだが、前後のサイズはまったく異なる

バブル華やかりし頃、自動車業界も浮かれ気分が支配していたものだが、そのなかで生まれてきたのがビー卜だ。それまでも軽自動車のオープンカーというのは存在したものの、ミッドシップ2シーターとなると話は別。じつにホンダらしい、奇抜なアイディアと技術が満載だった。

たとえば、エンジン自体はキャブレター時代を彷彿とさせる3連スロツトを採用。またコンピュータによる燃料噴射も2つのマップを切り替えて制御するというものだった。そのほか、前後異径タイヤや軽自動車初となる4輪ディスクブレーキなど、贅沢な内容でホンダファンだけでなく、多くの走り好きを魅了した。ちなみに海外メーカーの開発陣にもファンは多く、なかにはプライベートで所有する人もいたりするほどだ。

実際の乗り味だが、正直パンチがなかった覚えがある。660tのNAということもあり、高回転型といえば聞こえはいいが、排気音は軽卜ラっぼい感じがしたのは事実だ。パンチあるターボを武器にしたドッカンぶりでは半年遅れで登場したスズキのカプチーノのほうが上で、ユーザーの好みも2分していた。さらにコアなユーザーはガルウイングのAZ−1(エンジンはカプチーノと同じ)を買ったものだが……。

とはいえ、ビートはショートストロークのシフトもスコスコ決まり、それだけにコントロールしやすいというか、自分の手の内で操ることができたのは大きな魅力で、持てる性能をすべて使い切る楽しさがあった。とくに足まわりの味付けはしっとりと粘ってくれ、軽自動車の水準を大きく上回っていたものだ。

未だにビート的なクルマを望む声を多く耳にするが、それだけ優れていたということになるのだろう。

 

HISTORY 系譜をたどればポッと出というわけではなし

Sシリーズ

【Sシリーズ】
アルミ合金ブロックに精密なツインカムヘッドの組み合わせなど、
ホンダイズム炸裂。4連装の京浜キャブにシビれた

 
ライバル
AZ-1
【AZ-1】樹脂製ボディを採用し、ガルウイングでド肝を抜いたAZ−1、こちらもミッドシッブだがターボだった
カプチーノ
【カプチーノ】ビートと双壁をなしたが、スチール製トップで、タルガ風でも楽しめた。ターボ&FRだった

軽自動車として考えれぱ貴重な存在といっていいのだが、ホンダということで振り返ってみると、往年のSシリーズがある。1963年に登場したホンダ初の乗用車であり、また2 シータースポーツというのは皆サンもこ存じのことと思うが、フロントエンジンやフレームシャーシという違いはあれども、コンセプト自体はまったく同じ。小排気量(500〜800cc)ながら高回転型(レッドは9000rpm!)とすることでパワーを稼ぐという手法や、世界に衝撃を与えたという点も共通点といっていいだろう。その系譜のひとつが3連装スロットル(Sシリーズは4連装キャブ)でもある。シフトをマメに操作しながら、引っ張って走るというのは、まさにホンダ伝統の味わい。そういった伝統のもとにビートは生まれたというわけだ。生まれるべくして生まれたといっても過言ではない。

ホンダ・ビート変遷表
FMC 1991年5月15日〜 F1テクノロジーをフィードバックした多連スロットルを採用し、さらにシャープなレスポンスと安定したアイドリングを実現する「燃料噴射制御マップ切替方式」を搭載(価格:138.8万円)
大容量エアクリーバーボックスやテーパーポートインテークマニホールド、大流量排気系の採用で、高回転&高出力かを実現
シフトストロークを40mmとし、素早いシフト操作を可能とした
軽自動車初の4輪ディスクブレーキを採用
重心高440mmという低重心化を実現し、前後重量配分は43対57とした
エアバッグはオプション設定で8万円高
カーニバルイエロー/フェスティバルレッド/ブレードシルバーメタリック/クレタホワイト/アズテックグリーン/エバーグレイドグリーンメタリック
1992年2月18日 アズテックグリーンパール800台限定バージョンF発売
アルミホイールを標準装備(価格:144.8万円)
1992年5月28日 キャプティバブルーパールの500台限定バージョンC発売
ホワイト専用アルミを標準装備
1993年10月5日 限定車バージョンZ発売。地域限定
ブルーシルバーメタリック/エバーグリーンメタリックの2色を設定
ブラックメーターやマッドガード、リアスポイラーetc.を標準装備
アルミホイールを標準装備(価格:145.0万円)
1994年6月12日 2度目のバージョンZで、地域限定ではなし
ABS+LSD標準装備車も用意(価格:145.0万円)
1996年2月 生産中止。生産台数計3万3627台
 

なんとデザインまでパクられた!?

パクリ?
確かに見比べてみると、全体の輪郭はもちろんのこと、テールランプの形なともそっくりリスペクトというのだから、別に悪い気はしないな

どこを取ってもホンダらしさ全開で世界に衝撃を与えたのだが、それは技術的な部分だけではない。なんとデザインもなのだ、ローバーのMG−Fのリヤはそっくりで、ランプの形やバルジの位置も一緒。じつは真似たのは公言していて、尊敬を込めてとのことなんだかうれしいゾ

 
 

【HONDAISM】ホンダイズム炸裂!ただの軽じゃない

MTREC
MTRECとは「マルチ・スロッル・レスポンシブル・エンジン・コントロールシステム」の略
リアサス
スペースに余裕はないが、リアサスはディアルリンクストラットを採用する懲りようだ

タダの格好だけと思ったら大間違い。ホンダ独自の技術が満載だ。エンジンは何度も紹介しているようにトゥディ用ながら3連スロットルや大型エアクリーナーボックスで吸気系をチューニングするとともに、燃料噴射制御マップ切替を採用。NAながら軽規制値いつぱいの64ps(NAで初)を達成し、MTRECが付けられた。またボディもボディ耐性不足を考慮して、ミッドシップフルオープンとしては量産車世界初でモノコックを採用。前後クロスバーの効率的配置に加え、フロアトンネルを袋状にしたり、サイドシルを2重化するなど、独自の技術で合成確保に成功している。

Maintenance 好調維持のお手入れ術

メンテナンス性の悪さは仕方なしか?
高回転ユニットだけに、オイル交換はしっかりと

タイミングベルトの寿命は意外な盲点なので要注意


エンジンのフード裏には仔細にメンテナンスの指示が明記されたステッカーが貼られている

4輪ディスクを採用しているのだが、車重が軽いこともあり、ブレーキ自体への負担は少ない

スペースが狭いため、エンジンオイルはボディの穴から入れる

メンテナンス性がいいも悪いも、上の写真を見てもらえばすぐにわかるだろう。実際のところ、エンジンはまったくといっていいほど見えず、整備性はかなり悪い。もちろん設計時に配慮はされているものの、エンジンオイルやエアクリーナーの交換ぐらいしか楽にはできない。まあ、限られたサイズのなかでミッドシップを採用しているだけに、仕方がないといえば仕方がないが、プロにメンテや修理をお願いしたとぎに工賃がかさんでしまいがちだ。

で、日常的なメンテナンスだが、エンジンオイルは高回転を常用することが多く、量も少ないことから、早めに交換したほうがいいという声はほとんど。純正指定は最低限として考えて、半分の5000km毎ぐらいで換えるのがベター。銘柄に関しては好みのものでいいが、粘度は30ぐらいがベストで、硬すぎるとさすがにレスポンスが落ちてしまう。また高回転対策として、余裕があれば科学合成油を選ぶといいだろう。

さらに油脂類で注意するのは、ミッションにはエンジンオイルを使用するということ。当時のホンダ車全般の特徴のひとつで、今までの経験では、市販のミッションオイルを入れてしまっても不具合はすぐに起こらないが、クルマによってはシフトが渋くなることもあった。やはり純正の指定を守るに越したことはない。

そのほかは、前のぺージで紹介したように、タイミングベルトはかなり早めで交換し、さらにファンベルトなども同様に早めが安心できる。

外装ではリヤスクリーンの曇りを専用ケミカルで取り除いておきたい。 とりあえずいえるのは、最近のクルマのようにメンテナンスフリーではないということ。キッチリと手をかけてやる必要があるが、その分愛着が沸くというものだ。

メンテナンス表(編集部調べ)
項目 交換時期 総量 純正指定
エンジンオイル 10000km/6カ月ごと 2.5l ウルトラU
オイルエレメント 20000kmごと 1個  
MTオイル 40000kmごと交換 1.2l ウルトラU
ブレーキフルード DOT3もしくはODT4
冷却水 車検ごと 4.7l LLC
クラッチフルード DOT3
タイミングベルト 100000kmごと 1本  
スパークプラグ 電極1.0〜1.1mmの範囲で調整 3本 BKR6E-11/K20PR-U11
エアクリーナー 40000kmごと交換 1個 掃除不要
 

幌の開閉方法

手順1
前方の両端にフックが付いているので、まずはこれを解除する
手順2
狭い社内でリアスクリーンのファスナーを外すのは、少し窮屈
手順3
あとは手動で倒してカバーをかけて完了。それほど重くない

メンテとは異なるが、幌の開閉方法を紹介しよう。電動が当たり前の昨今だが、それになれているとちょっと面倒。基本的には前端に付いているフックを解除して、倒すだけなのだが、ビニール製のリアスクリーンは外しておかなければならないのが注意点だ。

 

Turning カプチーノに比べてノーマル派が多いのが特徴

マフラー&ホイール程度で、ハードは少数派

タイヤ
意外に多くのブランドが装着できる。写真はBBS製で、ほかには懐かしのワタナベ8本スポークなども
マフラー
無限のマフラーだが、フィーリングだけでなく、確実にリヤのボリュームがアップする。ホンダ車はマフラー交換でパワーが落ちることもあるので選択は要注意だ
ストラットタワーバー
無限アップにストラットタワーバーは有効。またマスターシリンダーストッパーを自作するのは定番だ

バリバリにイジって楽しむというのは少ないのが、ビートの特徴となる。ライバルのカプチーノはターボまわりなど、いろいろと手を入れられる部分が多いことから、ハードチューン志向が多いのと対照的だ。とはいえ、ノーマルばかりというわけではなく、ホイールとマフラーを交換するのは定番で、とくにマフラーはいくつかのメーカーからリリースされていて、無限からも出ているのはうれしいところ。実際にも無限の装着率は高い。

またマフラーを交換した場合、ノーマルの貧弱な一本出しを、センター2本出しや両サイド出しなどとなるので、ドレスアップ効果も望める。そのほかホイールはもちろん好みだが、純正スチールを自分でホワイトに塗装するのも、一時流行ったモディファイのひとつだ。